EUの暗号資産市場規則(MiCA)が最終的な適用期限を本日7月1日に迎える。認可済み取引所は自社プラットフォームからテザー(Tether)のUSDTを順次撤去している。サークル(Circle)がその空白を埋める動き。
状況は規制ごとに明確に分かれている。一方の発行体は、この期限に向けて数年をかけて準備した。もう一方は、欧州向けにコストをかけてまで順守する価値はないと判断した。
なぜサークルは欧州市場を制するか
サークルは数年前からこの時期に備えていた。USDCおよびユーロ建てステーブルコインEURCの双方で MiCA準拠を確保してきた。時価総額上位10種のステーブルコイン発行体のうち、この基準を満たしたのはサークルのみである。
テザーは、MiCAが求める電子マネートークン認可を申請していなかった。この決定により、USDT約1850億ドル分が から排除される見通し。
テザーの決定は過失ではない。パオロ・アルドイーノCEOは公開の場で同社の立場を している。MiCAで義務付けられた「Eマネートークン準備金の60%を欧州域内銀行預金で保有」を、新たなリスク要因と主張した。準備金モデルをその基準に合わせて再構築するより、テザー経営陣はEU域外市場を優先する道を選択した。
このタイミングがサークルをより有利にしている。期限前日、BNYメロンが自社の デジタル資産カストディプラットフォームでUSDCを初のステーブルコインとして扱うことを確認した。
機関投資家は同プラットフォームでUSDCの保管、移転、ミント、バーンが可能になる。EU取引所の動きとあわせ、サークルは同週に2大陸で規制適合の位置付けを得た。
規制だけでなくビジネス上の物語
この淘汰はステーブルコイン以外にも波及している。MiCA以前、EU全域で事前登録されていたバーチャル資産企業は約1200社。そのうち、完全なCASP認可を 取得できたのは約210社にとどまる。取得率は17%程度。
より本質的なのは、サークルが長年かけて築いてきた基盤である。認可取引所からはUSDT経由での流動性供給ができなくなり、サークルがそれを吸収する展開となる。テザーが将来的に認可を得る可能性は残るが、その動きが近い兆候は見られない。
本当の試金石は今後数週間。どれだけのEU取引量がUSDCへ移るかが問われる。